2015年11月02日

中村佑の『よそ見わき見気まま旅;第28回・山形』

◆故郷・山口県下関の友・中村佑君の旅紀行◆

 ~『よそ見わき見気まま旅』第28回・山形~

尾花沢「山刀伐峠」



◆悪い癖でついつい寄り道をしたくなります。

菊舎は歩いていませんが、

芭蕉が封人の家(山形県最上町境田)に一夜の宿りをした後、

屈強の若者を頼んでやっとの思いで越えた

山刀伐峠がどんな所なのか見てみたくなりました。

「高山森々として一鳥声きかず、木の下闇茂りあひて夜行くがごとし。

雲端につちふる心地して…」

と書き残しています。
 
 芭蕉が長逗留をした鈴木清風の居宅がある尾花沢の町外れ、

県道28号線を進んだ山中に、まるで小腸のくねりを思わせる

難所が残っています。

大切な観光資源として一度は整備されたようですが、

歩く人も滅多に居ないらしく、随分荒れてしまった印象でした。
 
 ところで、芭蕉が心を許し長逗留をした鈴木清風という人は、

中々豪胆な人物だったようです。紅花を商うため、

その年も北前船を仕立て江戸に入りました。

ところが江戸の商人達の悪企みにより極端な安値を提示されます。

すると「私の紅花は必要がないようです」と紅花の詰まった俵を

川原に積み上げ火を放ってしまいました。
 
 慌てたのは江戸の商人達です。

たちまち品薄になってしまったため相場は一気に倍以上に

高騰してしまいました。

そこで清風、おもむろに灰にした筈の紅花を市場に投入、

大儲けをしました。

実は、灰にしたと思われた紅花は、俵に詰めたカンナ屑だったのです。

普段の年の倍以上の利益を得た清風、

「余分な儲けは江戸に返さなくてはならない」と

一ヵ月かけて江戸で大散財をし、

例年通りの儲けを懐に尾花沢に帰ったそうです。
 
  (中村 佑)    2015年11月1日

中村佑の『よそ見わき見気まま旅;第28回・山形』


▲信州姥捨の長楽寺(中村佑作)▲

あづみのきみ麻呂の蛇足だが―;

今回の話しに登場してきた鈴木清風にまつわる、

想い出噺を先月、中村佑君にメールしたのを―

ご紹介しておこう。


▼山形は大島監督の映画「少年」でも昭和43年の秋、
ロケで訪ねたが、主に県庁がある山形市だった。
そうそう~山形と言えば、「奥の細道」に出てくる
芭蕉が逗留したという尾花沢の俳人・鈴木清風の
末裔で生家の隣に住んでいたという鈴木さんという人
と、かっての職場<高速道料金所>で親しくして
いたのを思い出したよ。(きみ麻呂のザレ言)



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